僕の大好きな水木しげる先生。先生は『鬼太郎』や『悪魔くん』などの作品で有名ですよ。ただその一方で古典の中でご自身が面白いと思った物語を漫画化するような活動もされています。
今回僕が読んだ『水木しげるの日本霊異記』も『日本国現報善悪霊異記』という古典を漫画化した作品です。
この霊異記は平安時代ごろに書かれたものらしく、仏教説話集だったみたいですね。つまり、お坊さんの教えを世の中に広めるためのお話を掲載したものというわけです。
ちなみにこの霊異記は日本最古の説話集で上・中・下巻で全116話。その中から、水木先生がチョイスした7話を漫画化したものが『水木しげるの日本霊異記』です。今回はこの作品を読んだ感想を書いていきたいと思います♪
水木ファンならたまらない、水木流日本霊異記!
水木先生が古典を漫画化するときは、単に漫画にするだけじゃなくて水木先生流のユーモアやちょこちょこ挟まれますし、先生の作品に登場したキャラたちも話の進行役や、ちょっとした脇役で登場したりします。
この作品でもねずみ男や、目玉の親父、死神など水木作品でおなじみのキャラたちがお話にアクセントをつけており、単に古典を漫画化した作品を読むのではなく「水木先生流の日本霊異記を読む」という感じで楽しめます。
お話自体は不思議な話が多くて、「これは仏教の教えを広めるためにどう活用されたんだろう?」というものもありましたね。当時のお坊さんにそれぞれのお話にどんな意味があるのか聞いてみたいなぁと思いました。
まぁ、でもそんな細かいことは抜きにしても、僕の様な水木先生の作品が好きな人からすると水木テイスト満載で「いいねー♪」という感じで楽しく読めるのではないでしょうか?
相変わらず素晴らしい背景に、ほれぼれすること間違いなし!
水木先生の描くキャラクターってわりとかわいらしい感じのものが多いじゃないですか?妖怪とか幽霊に関しても、おどろおどろしいものもありますが、基本的には鬼太郎とか、ねずみ男みたく子供にも好かれるようなキャラクターの描き方をされてるわけです。
そんでその一方で背景がすげぇんですよね。水木先生のファンからすると当たり前なんだけど、先生の作品はキャラのかわいらしさとは対照的に、背景が非常に細かい。本作でも林とか竹薮とか草原とかが細かく線が書き込まれているし、当時の建物も手抜きなく描かれています。水木先生はその時代のこととか資料取り寄せてメチャメチャ調べますからね。そして、その時代の建物だったり風景をなるべく再現しようとされている。
そんでなぜかいい意味で力の抜けた感じのキャラクター達とガッツリ描きこまれた細かい背景がマッチングするんですよね。ほんと「なぜ?」って感じなんだけど、これこそ水木作品の独特な世界なんだよなぁ。
まぁ、本作に限らず今まであんまり先生の作品の背景に注目してこなかったっていう人は物語もそうだけど、ほんと背景に注目してほしい。
僕は先生の作品を読むたびに物語のおもしろさとともに、背景の素晴らしさに感動しています。
まとめ
そんなわけで今回は『水木しげるの日本霊異記』という作品を紹介してみました。
水木先生流なりの古典の解釈については、賛否あるかもしれませんが、個人的には分かりやすくてとても好きな作品でした。
水木ファンはもちろんのこと、古典とかちょっととっつきにくくて嫌だなーというような人も、割とスラスラと読める作品だと思います。興味がある方はぜひご覧になってみてください♪
それでは今回はこの辺で。