ニートの兄妹の日常を描いた『働かないふたり』という漫画があります。
この作品全体的にゆるい感じで、ニート気質な僕にとってはとても好きな作品の一つなのですが、特に印象的なのが主人公の石井兄妹の生活がニートにもかかわらずすごく充実しているようにみえるということです。
じゃあなぜ彼らは充実しているのか?二人の兄妹仲がいいってことと、親との関係もいい(母親からはやや圧力をかけられている)っていうのもあるんだけど、それ以外にもいくつか理由があるなと思ったので、今回はその辺を考えてみたいなと思います。
ニートをしてる人や、自分の生活があんまり充実してないなっていう人にはもしかしたら参考になるかもしれません。
ニートだからといって閉じこもらない
まず思ったのは、この兄妹はニートだからといって自宅に閉じこもって人との関係性を遮断してないなぁってことなんですよね。(妹の春子はめちゃめちゃ人見知りだけど)
ニートとか無職みたいな肩書がない状態っていうのを人によっては気にしちゃったりするんですよね。で、昔の友達からの誘いとかも断ったり無視したりして関係を断絶しちゃったりする。
あるいは新しい出会いの場なんかにもなかなか出ていきにくいなんてこともあるでしょう。「今何してるんですか?」って聞かれたときに「ニートです」とか「無職です」って答えて気まずくなっちゃったり、否定されたりしないかどうか不安だったりするわけですよ。
でも、働かないふたりの兄妹は違う。特に守はコミュ障どころかコミュ強といってもいいかもしれない。彼の場合ニートなのに人とのつながりが減るどころかどんどん増えていくんですよ。小・中学校からの同級生である丸山君と遠藤君とは頻繁に遊ぶし、ご近所のおばさんとも仲良くなってその後も交流が続いていく。妹の友達の家族とも繋がってたりする。ぶっちゃけ彼の真似はかなかなかできないかもしれない(笑)
一方妹の春子はというと兄の守のようにコミュ強というわけではありません。むしろどちらかというとコミュ障の部類に入るのかもしれない。初対面の人に対してはめちゃめちゃ人見知りしてささっと隠れちゃうし、服屋とかも一人で入るのに躊躇しちゃいます。積極的に人と接していくのは苦手なようです。
ただ、春子には数少ないながらも昔から仲良くしていた友達がいて、彼らとの交流は続いています。また兄である守の友人とも兄を通じて少しずつ距離を縮めており、決して人間嫌いというわけでもありません。
このように石井兄妹はニートだからといって、人間関係を一切断ってしまうということをしないんですね。それが、彼らの日常に新たな出会いをもたらし刺激や気づきに繋がっています。
完全に閉じてしまわないこと。人を遮断してしまわないこと。石井兄妹はナチュラルにやってますがこれはすごく参考になるのではないでしょうか?
わからない存在にならない、積極的な自己開示が人とのつながりを作る
ここでさらに考えていきたいと思ったのは「なぜ守は色々な人とどんどんつながることができるのだろうか?」ということです。妹の春子と違い守はガンガン人と出会いガンガン交流の輪を広げています。
まぁ、単純にコミュ強と言ってしまえばそこでおしまいですが、僕は守が同級生の鈴木君との会話に人間関係を広めるうえでヒントになる考えがあるのではと思いました。
ある日鈴木君は、会社で自分の趣味をオープンにしてみたら話しかけられるようになったんだよねと守に言います。それに対して守が返したのがこの言葉。
よくわからない人ってこわいんだよみんな
引用元:『働かないふたり』第15巻 #917わからない人 著者 吉田覚
確かによくわからないものってこわい。こわいから不安や恐怖を覚えたり距離をおこうとするわけです。鈴木君の場合もそれまであまり会社の人に自分の趣味とかを教えてなかったわけですよね。なので、会社の人からしたら「あの人はどういう人なのかよくわからない・・・」となってしまっていた。
もちろん、そういう相手に対してコミュニケーションを取ろうとする人もいるけど、やっぱりよくわからん人に対して踏み込んでいける人ってそう多くはない。でも、それが自己開示したことで「それ好きなんだ。」となるわけですよ。で、ちょっとよくわからなさが薄まる。よくわからなさが薄まれば不安も薄まりますから、中には寄ってきてくれる人も出てくるというわけです。
おそらく守はそのよくわからないということが、人間同士に壁を作ってしまっているということをよくわかってると思うんですよね。
だから彼は出会った人には自分はニートだってことを言うし、働いていないっていうことも言っています。よくわからない不気味な人と思われないように自己開示をしている。それが相手にとって安心感につながり結果として幅広い人間関係を築けてるのではないかなぁと思うわけです。(守はすげぇ性格がいいというのもあるんだけどね)
もちろん、なかなか自己開示って難しいと思うんですよ。ましてやニートとか無職に対して問答無用でノーっていう人もいるわけで
「嫌われたらどうしよう」
「否定されたらどうしよう」
みたいに思ってしまうのも無理はないです。嫌ですよね、嫌われたり否定されたりするのって。ただ、そうはいってもそれが今の自分なわけでそれを受け入れるというのもまた一つの手なのかと。自分がちょっと言いたくないことでも言ってみたら案外相手のリアクションが「ああ、そうなの?」ぐらい薄い時もあるし、逆に面白がってくれたりすることもあります。
自分がダメだなとか弱いなと思ってるところって、意外に共感を得たりもしますからね。そういうメリットもあるので、守のようにちょっと言いにくいことも自己開示して人に伝えていくと人間関係が広がっていくのかもしれません。
まとめ
というわけで今回は『働かないふたり』の石井兄妹の生活からなぜ彼らが充実しているように見えるのか?について書いてみました。
とにもかくにも閉じこもらない。石井兄妹のようなつながり方は無理でも、ちょこちょこ人と繋がるようにしてみる。そんでもってなかなか全部を出すっていうのは難しいかもだけど、少しずつ自分のことを表に出していってみると。そうすると新たな出会いがあったり面白い出来事が起こって少し生活が充実したりするんじゃないのかなぁと思っております。