「酒は飲んでも飲まれるな」
ということわざがあります。適量のお酒ならいいけど、飲み過ぎて我を忘れてしまったり自分を見失っちゃいけないよといった意味です。もしかしたら読者の方の中にもお酒を飲み過ぎてしまって失敗したことがある方もいるかもしれません。(もちろん僕も‥‥‥。)
僕が好きなマンガ『三国志』でもお酒を飲み過ぎたことで数々の失敗をしてしまった武将がいます。それは劉備の義弟である張飛です。
今回はそんな張飛のお酒の失敗について三国志の第十巻から学んでいきたいと思います。
マンガに出てくる張飛が酒で失敗したエピソード
張飛は三国志でも随一の強さを誇る呂布とも渡り合える使い手で、その勇猛さには誰もが一目置く存在でした。
ところがそんな彼には大きな弱点があったのです。それは「酒癖が悪い」ということ。マンガの中で何度も出てくるのですが、張飛はとにかくよくお酒を飲みます。その飲みっぷりはまさに豪快そのもので見ていて気持ちがいいほどです。だけど、そのお酒がある一定量を超えるとお酒に飲まれてしまう。そんな彼を義兄の劉備も心配していました。
そんなある日のこと。劉備は徐州という場所の太守(郡の長官)をつとめていました。そんな彼に帝から勅命が下ります。それは「南陽の袁術を討て。」というものでした。(ここでは袁術の説明はしません。力を持った勢力のうちの一人だったぐらいに思ってください)
劉備はさっそく袁術を討つために出陣をするわけですが、ここで一つ問題が。それは彼が留守にしている間誰が徐州を守るのかというものでした。
そこに立候補したのが義弟の張飛。確かに彼は強いし城を守ることもできそうです。ところが劉備は張飛は城の守りには向かないんじゃないかと思うわけです。理由は二つ。
まず一つ目は彼が攻撃型の人間であるということ。勇猛果敢な張飛は敵陣を打ち破るのには適しているが、城を守るようなタイプではないということ。
そしてもう二つ目が「張飛は酒癖が悪い」ということでした。そのことを劉備は次のような言葉で語っています。
おまえは酒を飲むと自分を失うそれが心配だ
それに対して張飛は酒を辞めるから城を守らせてくれてお願いをするのです。そこまで言うならと劉備は張飛に城の守りを任せ、関羽や他の部下たちと共に袁術討伐へと向かうのでした。
劉備たちが出陣したあと酒も飲まず城の守りをしっかりとこなしていた張飛でしたが、ある日こんなことを思いつきます。
しかし部下たちにことばだけあいそよくいっててもわるいな
弓もつるをかけたままではゆるんでしまう
たまにはつるをはずすのもよいことじゃ
つまり部下たちもずーっと緊張しっぱなしじゃよくないから、たまにはリラックスさせてあげることも必要だろうと考えたわけですね。そこで、張飛は連日頑張っている部下たちにお酒をふるまうのです。ところがこれが彼にとっては大きな失敗でした。
部下たちは連日連夜の任務で疲れていたので、お酒をふるまわれて大喜び。みなおいしそうにお酒を飲みます。
一方張飛はこの任務中お酒を飲まないと決めていますから、我慢しなければなりません。しかし酒隙の張飛にとって周りの人間が楽しそうにお酒を飲んでいる仲、自分だけが飲めないという状況は苦しい以外の何物でもなかったのです。
そこへ部下の一人が張飛に「一杯くらいなら大丈夫じゃないですか?」ということを言ってくるんですね。最初は拒否していた張飛ですが、やはり酒隙の彼は断り切れず、一杯飲んではまた一杯という風にだんだんと飲む量が増えてきてしまうのです。しまいには、ツボ一杯に入ったお酒を飲み干してしまいました。もはや劉備との約束など彼の頭の中にはありません。
そんな騒がしい状況に気づいたのが文官の曹豹です。彼は張飛が酒を飲んでいる場面を目撃し、飲むのをやめるように説得しますが、酒乱の張飛はそのことに怒り彼を殴ってしまいます。
この事に恨みを感じた曹豹は、徐州に客人として来ていた呂布に「張飛や城兵が酒で酔いつぶれている。」ということを手紙で知らせるのです。つまり、今なら城を乗っ取れますよというのを暗に伝えているわけですね。
呂布は最初こそ温かく迎えてくれた劉備に恩義を感じ、城を襲うことを躊躇しましたが部下に説得され徐州を奪うことを決意。酔いつぶれた城兵や張飛では戦うこともままならずあっという間に徐州は呂布に占領されてしまいます。
辛くも逃げ延びた張飛は、袁術たちと戦っている劉備の元へと向かうのです。約束を破り酒を飲んで呂布に城を奪われたこと、そして劉備の妻や母親を呂布の手のうちに残したまま逃げるという大失態を犯した張飛は自ら命を絶とうとしますが、劉備は彼を許しこの恥を生きてそそぐことを告げるのでした。
張飛の失敗から学べること。
酒は飲んでも飲まれるなという言葉は意味がない
張飛の失敗を見て「なんて馬鹿なやつなんだ。」と思う方もいるかもしれませんが、お酒というものは 侮れません。普段は理性的な人であってもひとたびお酒を飲んで酔っ払ってしまえば普段の姿とは程遠い粗暴な人間になってしまう人もいるのです。中には殴ったりして警察沙汰になるなんて例もありますが、その人たちが普段から粗暴というわけではありません。お酒が入ることで、コントロールが効かなくなってしまうんですね。
そういう人に対して「酒は飲んでも飲まれるな。」だよと言ってもあまり意味がないと思います。なぜなら一度飲み始めればお酒を飲んだことで理性はマヒしそんなアドバイスなど忘れてしまうからです。
今回お伝えした張飛の例もそうですよね。尊敬する兄であり、上司でもある劉備に「お酒を飲むな」という忠告を受けたにもかかわらず、張飛はお酒を飲んでしまいました。一杯でやめればまだよかったものの、もはや歯止めがきかない状態になってしまったのです。
本人の自覚と、コントロールしてくれる他人の存在が大事
この場合まず大事なのは、本人が「自分は酒癖が悪い。酒を飲むと歯止めがきかなくなる」ということを自覚することです。まずそのことを自覚させしらふの状態で反省を促します。
ただ酒が大好きな人間にお酒を飲むなというのは酷なもの。なのでその場合その人をコントロールできる人間というのが側にいるといいのではないでしょうか?
張飛の例でいえば、今回は劉備や関羽が出陣していたため一時的にではありますが、徐州の中で自分が一番上になってしまい彼を諫める人がいませんでした。
おそらくここに劉備か関羽のうちのどちらか一人でもいれば、彼はここまでお酒を飲むこともなかっただろうし、そもそもお酒を飲む前に止められていていたでしょう。
お酒が入ると自分ではコントロールできないのならば、自分を諫めてくれる人やその人のいうことになら従うという人と一緒に飲む、これも飲みすぎて失敗しないための一つのやり方だと思います。
そもそもお酒がないという環境が望ましい
お酒で失敗するという人にとって、失敗を防ぐ一番手っ取り早い方法は「自分の周りにお酒がない」という環境をつくり出すことだと思います。
居酒屋に行かない、家に酒は置いておかない、コンビニやスーパーでも酒のコーナーの前は通らないといったように、自分とお酒をとにかく遠ざけてしまう事。これが一番手っ取り早いです。そうすればいくらお酒好きでもお酒を飲むことはできませんよね?
お酒で失敗する人というのは、そもそもがお酒を飲める環境に身を置いてる人が多いと思うので、そもそもそういう環境をつくらないということが大切になるのではないかと思っています。
まとめ
今回は三国志第十巻の酒で失敗した張飛の例からお酒の付き合い方やどうすれば酒の失敗を防げるのか?について学んでみました。
ぜひ読者の方もお酒とうまく付き合って張飛のような大失態をしないようにしましょう。僕もお酒に飲まれないように気を付けます(>_<)
それではまた!!