この前たまたま古本屋さんに寄ったところ、「あれ?この絵、なんか見おぼえあるな?」なんて思いまして、作者名を見たらあの『闇金ウシジマくん』を描いている真鍋昌平さんの漫画でした。
あらすじは、夢を諦めたフリーターの砧(きぬた)が興味本位で手をだした儲け話。砧はそこでミスをしてしまいしょった借金はなんと300万。 その借金を返済するために紹介された仕事は何でも取り扱う運送屋で、砧は否応なしに裏社会と接点を持つことになってしまいます。
そんで、読んでみたらまぁこれが怖いんだ。
ウシジマくんも社会の闇を描いてそこに取り込まれる人たちを描いた読んでいて胸が苦しくなることもある作品なんだけど、このスマグラーも負けず劣らずのダークな感じ(*_*;
真鍋先生の作品はウシジマくんも含めて社会の底辺だとか、行き詰っちゃってる人を描くものがほとんどなんだけど、この作品の主人公砧もそうで借金をしょって非合法な運送屋の仕事にまでたどり着いてしまうわけです。
真鍋作品は現実を痛感させられる
真鍋作品の場合ある意味現実をあらわしているのかもしれないけど登場人物の多くが「そのまま沈んでいってしまう。」ってことが多いんですよね(*_*;
なんていうのかな、漫画とかでよくある「救世主が来て」とか「幸運が重なって」っていう要素がほとんどない(*_*;もがけばもがくほどズブズブと沈んでいってしまうそんな社会の底辺の話がこれでもかというぐらいにリアルに描かれています。
それがまた読んでいる読者にグサグサさって心を揺さぶるわけですよ。僕も読んでいて「このまま落ちていったらこういう感じになるんだろうか‥‥‥。」ってちょっと怖くなってしまう。
スマグラーの主人公、砧が沈んでいくのも、どこか自分の姿と重ねてしまう自分がいるわけですよね。夢を諦めて宙ぶらりんになった状態で、ただ毎日を生きているだけの状態。どんどん自堕落になって、しまいには社会の底まで沈んでいってしまうという状況‥‥‥。
自分はこうならないとは思いつつも、一方でそうならない保証なんてどこにもないよなと思ってしまいます。
誰にでも起こり得るそんな厳しい現実をしっかりと描いているからこそ、真鍋先生の作品は心にグサグサと突き刺さるものが多いんじゃないかな?
砧はどん底から這い上がれるか?
先述したように、真鍋先生の作品では登場人物が、社会の底まで落ちていってしまう人生そのものが破たんしてしまうなんていう場面も見られたりします。
ただ、一方で少ないながらも落ちていく途中で浮上したり、どん底から這い上がる人間を描くこともあるんですね。ちょっとした希望というものを見せてくれることがある。
主人公砧は今まさに社会の底に落ちていく過程です。どん底までは落ちちゃいないけど、このまま何も考えずにいれば少しずつ底に近づいてい来る、そんな状況。
「はたして砧はここから這い上がれるのか?」
自堕落なまま、非合法の仕事に身を沈めるのか?はたまた、作中に成長し何かを掴んで浮上していくのか?
砧が行く末はどっちなのか?っていうのも本作の見どころの一つだと思います。砧がどーなっちゃうのか?が気になる人はぜひ本作を読んでみてほしいところです♪
真鍋作品は恐ろしいけど学びが多い
今回『スマグラー』を読んでいて改めて思いました。
「真鍋先生の作品は恐ろしい!!」
いやぁ、この一言に尽きますな。ちょっとしたホラーより恐ろしや‥‥‥。社会のゾッとする光景をまざまざと見せつけてくれます。
ただ、逆にいうと真鍋先生の作品に出てくる人物たちっていうのは、良くも悪くも僕らの見本になるとこがあるんですよね。どの人物も現実社会にいそうな人たちばかり。
「あの考えは真似しちゃいかんな。」「ああいう思考だと落ちていくのか‥‥‥。」
作中に出てくる登場人物たちの様子を参考にしながら「どうすれば自分ならああいう失敗をしないですむのか?」っていうのを考えさせてくれるんですね。リアルな現実を描いているがゆえに、それを自分に当てはめて考えることができるというわけです。
そんなわけで、読みながらしんどくなることもあるんだけど、同時に多くの学びも得られる真鍋先生の作品は一見の価値ありだと思います。
「社会の底辺に学びがある」
僕は今回紹介した『スマグラー』も含め真鍋先生の作品を読むたびにそのことを実感させられます。興味がある方はぜひ一度真鍋先生の作品をご覧になってみてください。きっと心を揺さぶられるはずです。
※心が病んでる方は回避した方がいいかも(*_*;ちょいと刺激が強すぎるので‥‥‥。
それではまた!!